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クライアントインタビュー

株式会社モンテール 様

【お写真】株式会社モンテール 鈴木智也 様

1972年東京都生まれ。University of Dallas MBA(MIS)を卒業し、デロイトトーマツコンサルティングに入社。1999年7月モンテール入社。経営企画室システム担当を経て室長(当時)。

URL:http://www.monteur.co.jp/

今回は、熾烈な競争が繰り広げられるスイーツ業界の中で近年急速に売上を伸ばしている株式会社モンテールを取材しました。鈴木さんの言葉の端々に、ホームページを通しての顧客とのコミュニケーションを大切にし、重要な経営資源の一つとして活用されている様子をうかがうことができました。
(インタビュアー:弊社 代表取締役 戸丸 隆三)

コンサルティング会社から父の経営するモンテールへ

コンサルティング会社のプロジェクトで1年間アメリカへ行っていたんです。物理的な距離もあってか、逆に家族とのコミュニケーションが増えたんです。その時に、つくば工場が完成したことや、モンテールが急成長しているということを聞きました。同時に、モンテールがシステムの観点から事業の効率化や基幹部分の整備をする必要があると感じたんです。これなら今までコンサルタントとしてやってきたことが活かせる、自分にもできることがあるんじゃないかと思ってモンテールに転職しました。

入社直後は、ISO取得推進メンバーとして活動しておりました。現在は、経営企画室で、営業の情報分析や、生産管理・販売管理といった会社の基幹部分の再構築といったシステム関連の仕事をメインにしています。システムという観点から、ホームページの運営にも携わっています。

インターネットとの出会いは?

学生時代にアメリカに留学していた時です。当時はインターネットの黎明期で、ホームページを持っているのは、よっぽどコンピューターに詳しい人しかいなかったわけです。大学でHTMLなどを少し学んだので、自分でもホームページを持ってみよう、と思いまして、どうせなら自分の身になることをやろうと考えました。

そこで、ジーンズとかのビンテージモノを販売するホームページを立ち上げました。ビンテージモノの知識を持っていて、なおかつホームページの知識を持っている人は、当時はほとんどいなかったわけです。多いときで月に100万円の売上があり、学費や生活費はもちろん、小遣いプラスαくらいの利益がありました。

インターネットでの売買というのは、どうしても買う側に不安が付きまとうんですね。お金は払ったけど、商品がほんとに届くのか、と。ですので、いかに買う方とコミュニケーションを図ってこういった不安を解消するかということを第一に考えていました。

ホームページの社内での評価は?

ホームページを通して寄せられるお客様の声で、社内が動くようになりました。ホームページを立ち上げた目的は大きく2点あります。多くの人にモンテールの商品へのこだわりを知っていただくためのPRが第1点で、2点目は、お客様の声を聞きたいという点です。

ホームページを利用することでPRの費用対効果を向上させることができ、また、お客様の声を直接聞くことができるのではないかという判断があったわけです。しかし現在では、想定していたこれらの2点に加え、ホームページを通して送信していただいたお客様の声が社内を変える力を持つまでになっています。

2つ例を挙げますと、まず、弊社ではホームページでのお客様のご意見に対応するCS室を設置しました。ホームページ立ち上げの当初は、フリーダイヤルがあるからCS室など必要ないという意見が大半を占めていました。しかし、時間をかけてプチシューの感想を何行も書いて送ってくれる人や、一口食べてモンテールのファンになったということ送ってくれる人が大勢いて、ご意見・ご感想などのお客様の生の声が実際にたくさん集まってくることを目の当たりにしたわけです。すぐにCS室が設置されましたね。今では、CSによってお客様のご意見・ご感想に迅速に真心を込めて対応するように心掛けています。

もう一例は、商品のカロリーや成分を公表するかどうかという事です。インターネットで寄せられるお客様の声には、「カロリーはどれくらいか」とか「この商品にはどんな成分が含まれているのか」という問い合わせが大きな割合を占めていたんです。私が1年間公開しようと言いつづけてきたけれども実現しなかったのですが、これらのお客様の声を示したら、それ程時間がかからないうちに成分表示のGOサインが出たんです。

この他にも、まだ100%活かせているわけではないのですが、商品開発にもお客様の声を反映させることができるようになってきています。

ここまでホームページを活かせるようになった秘訣は?

ホームページというと、企業活動とは別のものと考えてしまう傾向があると思います。例えば、ホームページ会議というと、デザインやサイトのツリーがどうだとかマニアックな話がされている風に思われていたりするわけです。また、ホームページは作りさえすれば勝手に人が来てくれて、売上が伸びて、お客様の声も集まってくると勘違いしている人も多い。

しかし、実はホームページというのは企業の一部であって、きちんと手入れをしないと誰もこなくなってしまうものなんです。効率とは反対で、日頃の作業の積み重ねが大切なんです。

もう一点挙げると、ホームページを通して寄せられたお客様のご意見は、電話などで寄せられるものよりも軽く扱われてしまう傾向があるんです。「メール来てたから、誰か返事しといてよ」みたいに。しかし当然ながら、お客様の意見としては同等の重みを持つものなんです。メールの送信時間を見てみると、結構遅い時間だったりするんです。昼間に電話できない人が、声を寄せてきてくれているんです。そして、その内容にしても、時間をかけてあれだけの文章を書いてきてくれるんです。

良い意味で厳しい意見も寄せられますが、こういった声に誠意をもって対応してきたことが、モンテールのホームページの訪問者の増加、寄せられるご意見・ご感想の増加、しいては、モンテール商品のファン形成につながっていったのだと思っています。

モンテール急成長の秘密

大ヒットの裏側(1)プチシュー誕生秘話
スーパーやコンビニの売り場がニッチなマーケット。そこでの生き残りをかけてプチシューは誕生した。 91年にチルド洋菓子業界に参入したモンテール。当時の業界は不二家やコージーコーナーがフランチャイズで直営店による多店舗展開をしており、そこには入る余地がなかった。どこかにニッチなマーケットがないか調べてみると、スーパーやコンビニの売り場が開いていることが分かった。参入しているメーカーがほとんど無く、やっていても片手間程度であった。これなら勝機があると判断しました。当時、ティラミスやナタデココのヒットで、セルフ市場でも洋菓子の導入を検討するところが増えてきていたことも、モンテールにとって追い風となった。
洋菓子はライフサイクルが短く、1億円以上売上のある商品が半年で消えてしまうことが良くある。これでは事業として成り立たないわけです。そこで、洋菓子の中で最もベーシックでリーズナブルなお値段で召し上がっていただける商品は何かと考えた時、シュークリームに行き着いたわけです。その頃、コージーコーナーが火付け役になってブームになっていたジャンボシューがありました。それを逆手にとって、差別化をはかり生まれたのがプチシューです。現在ではモンテールの定番主力商品となっています。
大ヒットの裏側(2)原材料重視主義
本当のおいしさにこだわりは、原材料のこだわりから生まれる。 お客様に本当のおいしさをお届けしたい。そのためには原材料に徹底的にこだわりたい。そんな思いから牧場と工場を直結した自然隣接型のつくば工場が完成したのは94年のこと。つくば山麓の牧場からは搾りたての新鮮な牛乳が送られ、養鶏場からは新鮮な卵が送られてきます。
これらの新鮮な原材料を用いて造られるシュークリームは、60%が牛乳で22%が卵でできており、カスタードは完全に内製化されています。この点が他社との差別化につながっています。
大ヒットの裏側(3)品質・衛生管理&物流コントロール
流通システムを構築し、品質・衛生管理も徹底して行う。それも全て、おいしさをお届けするため。 モンテールの工場では1時間に6300個ものシュークリームが作られています。生で日持ちしない商品をこんなにたくさん造って大丈夫なのでしょうか?
モンテールでは、365日、ジャストインタイムで商品を供給し、さらに、欠品や過剰生産を抑えることができます。この流通システムにより、利益も増大しています。 また品質管理の面では、洋菓子メーカーとして初めてISO9002を取得しました。さらにNASAが宇宙食を作る際の品質管理基準HACCAPを導入。国の基準では1gあたり細菌数が10万個以下と定められておりますが、モンテールでは1gあたり300個以下という厳しい自己規定を設定しています。